海ブドウの殺菌および共生虫の除去実験
◆ 実験課題
海ブドウを出荷するために、小さなエビやコツブムシなどの共生虫を除去する必要があり、その手段として二酸化炭素ガスを水中にバブリングした状態で、
海ブドウをかごに入れて洗浄しているが、ガスボンベの取り扱いの危険性やランニングコストが問題となっている。
◆ 実験方法
海ブドウを洗浄する水槽の海水にファインバブルの状態でオゾンガスを混入させる。 理論オゾン水濃度としては食品殺菌レベルの0.5ppmとする。
洗浄用のカゴに海ブドウを入れて、水槽に浸した状態で左右に振り、共生する虫がどれだけ除去できるかを確認する。
除去レベルを明確にするために、できるかぎり多くの虫が共生している海ブドウをサンプルとする。
加えて、出荷OKレベルの海ブドウを同じ条件で洗浄し、虫が残留している可能性についても念のために確認する。
実験装置
◆ 実験結果
洗浄開始数秒間で多くの虫が海ブドウから離れて水槽内を浮遊した。 その後1分以内には浮遊していた全ての虫が水槽の底に沈下するのを確認した。
また、出荷OKレベルの海ブドウについても数匹ではあるが水槽内を浮遊する虫を確認した。
◆ 結論
実験の結果から、現状の二酸化炭素を使用した方法よりも高品質で共生虫を除去できると判断する。 加えて実際の作業者は除去作業が非常に楽で短時間で作業が完了するという意見をもらった。
ただし、洗浄翌日に海ブドウを再確認したところ虫の存在が確認されたため、さらなる除去品質をアップする方法を検討する。
◆ 考察
海水にオゾンを混入することにより臭素酸が生成することが知られていることを説明したうえで、お客様の意見として、
海ブドウは虫除去後に新鮮な海水で数時間浸して再洗浄してから出荷するため、出荷品質に影響はないと判断していただいた。
さらに、オゾン水濃度を低くすることで臭素酸の生成を抑制するとともに、臭素酸は自然分解する物質であるため残留の問題は発生しないと判断する。