飲料ボトルのオゾン水殺菌によるミネラルウォーター成分への影響
◆ 実験課題
飲料ボトルおよびキャップのオゾン水殺菌において、充填するミネラルウォーターの成分に対する影響を確認する。
◆ 実験方法
Test A<オゾンによるミネラルウォーターの成分変化を評価する加速試験>
・ミネラルウォーターを1Lのビーカーに投入する
・ビーカーに水中ポンプとエジェクタを投入してオゾンガスを気液混合する(オゾン殺菌)
・オゾン殺菌後のオゾン水濃度は5ppmとする
飲料水自体を殺菌してボトリングする3~5倍の濃度での加速試験
・オゾン殺菌後の成分に対する影響レベルは下記項目で評価する
官能評価項目:色・におい・味 + 成分測定:pH・TDS・電気伝導率
・測定後にミネラルウォーターをボトルに入れて栓をした状態で放置し翌日再度評価する
Test B<キャップを殺菌したオゾン水がボトルに混入した場合を想定した加速試験>
・キャップを殺菌したオゾン水がキャップ満杯に残留した場合の量をボトルに投入する
オゾン水濃度は Test A と同様にキャップ殺菌の3~5倍の5ppmとする
・オゾン水投入後の成分に対する影響レベルは Test A と同じ項目で評価する
・測定後ボトルに栓をした状態で放置し翌日再度評価する
◆ 実験結果
オゾン水殺菌実験において下記の結果を得た。
Test A
色 | におい | 味 | pH | TDS | 電導率 | |
原水 | 無色透明 | 無臭 | 無味 | 8.21 | 251ppm | 341μs |
殺菌直後 | 〃 | オゾン臭を感じる | 8.23 | 246ppm | 339μs | |
〃 翌日 | 〃 | 無臭 | 無味 | 8.21 | 242ppm | 345μs |
水道水 | 〃 | 〃 | 〃 | 7.26 | 120ppm | 154μs |
Test B
色 | におい | 味 | pH | TDS | 電導率 | |
添加直後 | 無色透明 | 無臭 | 無味 | 8.25 | 250ppm | 340μs |
〃 翌日 | 〃 | 〃 | 〃 | 8.18 | 240ppm | 343μs |
◆ 結論
ミネラルウォーター自体を高濃度でオゾン殺菌した場合でも成分は変化しないと判断する。
殺菌直後はオゾン臭が残留したが数時間後には感じなくなった。 今回は加速試験として、ボトル満杯分のミネラルウォーターを全量5ppmでオゾン殺菌したためオゾン臭が残留したが、 実際はボトルを殺菌したオゾン水(濃度1.5ppm✕1mL程度)がボトル内に残留し、それにミネラルウォーターを充填することを考慮すると、 オゾン水濃度は1/1,667であるためオゾン臭が残留することはない。
ちなみに Test B においてキャップ満杯(5mL)のオゾン水(5ppm)をボトル(500mL)に投入したが、その時のボトル内オゾン水濃度は0.05ppmであり、 Test A の1/100の濃度となる。
さらに Test B においてはキャップ満杯のオゾン水(濃度5ppm)をボトルに投入したが、実際にはキャップに残留するのはわずかであり、 ボトル内のオゾン水濃度はさらに1/50程度になるためオゾン水濃度としては 0.001ppmとなることから、キャップ殺菌によるミネラルウォーターへの影響はほぼゼロと考えられる。