製紙原料(パルプ)に対する脱色実験Ⅲ
◆ 実験課題
FILE130およびFILE132で紹介したパルプのオゾン脱色結果に関して、別メーカーのパルプについても同様の結果を得られるかの実験依頼があり評価する。
◆ 実験方法
ミキシングポンプでオゾンガスを気液混合できるレベルにパルプ濃度を設定する。
サンプル300g(半固形)を水10リットルで希釈した。
・提供していただいたパルプ(半固形)を水で希釈する
・希釈液10Lを反応槽に投入し、ミキシングポンプにて撹拌・オゾン混合する
・気液混合するオゾン量は4.4g/h(オゾン濃度22g/m3☓3.3L/min)とする
・オゾン処理後放置することで溶液の色の変化を目視にて確認評価する
実験条件とオゾン処理量
処理時間 | 放置時間 | オゾン混合量 | |
実験A | 10分 | 2時間 | 0.66g |
実験B | 20分 | 2時間 | 1.32g |
実験C | 30分 | 2時間 | 1.98g |
実験D | 60分 | 2時間 | 3.96g |
実験E | 120分 | 2時間 | 7.92g |
実験システム
◆ 実験結果
オゾン処理の時間経過と色の変化
上記のとおり処理時間とともに脱色されて、60分後にはほぼ白色に近くなる。
それ以降も多少は脱色するが大きな色の変化は感じられない状況であった。
◆ 結論
今回実験したメーカーのパルプについても、別メーカーのパルプと同様にミキシングポンプで撹拌・オゾン混合処理することにおいて、30~60分でほぼ白色に脱色できることを確認した。
オゾン処理中は2時間後でも多少色味が残っているが、処理終了後数分で色が薄くなり安定した状態で変化しない結果となった。
◆ 考察
オゾン処理停止(オゾン供給停止)後も、液中に残留したオゾンとパルプが反応することで脱色効果が得られたと判断する。つまりオゾンとパルプ脱色にはそれなりの時間がかかるため、連続で長時間処理するより、間欠処理のほうがオゾン活用効率は向上すると考える。