鋳造工程で発生する臭気の脱臭実験
◆ 実験課題
鋳造時のレジンを溶かすときに発生する臭気(主にアンモニア)に対してオゾンによる脱臭効果とオゾン+触媒の組合せによる脱臭効果を評価する。
◆ 実験方法
・実験試料(鋳造砂)を約250~300℃に熱したフライパンの中に敷いたアルミ箔に投入 加熱した試料の砂の色が変化することで臭気がすることを確認
・加熱することで発生した臭気をにおい袋に回収したものを脱臭処理前の原臭気とする
・上記と同様に原臭気を発生させ、回収する排気のオゾン濃度が5ppmとなるようにオゾンガスを注入し、におい袋に回収したものをオゾン脱臭の臭気とする
・さらに上記と同様にオゾンを注入した後に触媒を通過させた排気をにおい袋に回収したものをオゾン+触媒の臭気とする
・参考として、オゾンを注入せずに触媒を通過させた排気をにおい袋に回収したものを触媒のみの臭気とする
脱臭効果については、嗅覚を用いた臭気簡易評価法(二点比較式臭袋法)による臭気濃度の測定結果を用いて下記式にて算出する。
また、アンモニアの濃度についてもガス検知管による濃度測定をおこない評価する
脱臭実験装置
◆ 実験結果
臭気濃度 | 臭気指数 | 脱臭効果 | NH3濃度 | NH3除去率 | |
原 臭 気 | 800 | 29 | - | 300pm | - |
オゾン脱臭 | 625 | 28 | 22% | 220pm | 27% |
触媒のみ | 75 | 19 | 91% | 10pm | 97% |
オゾン+触媒 | 50 | 17 | 94% | 12pm | 96% |
◆ 結論
オゾンのみの脱臭効果はアンモニア除去率ともに低調な結果であったが、触媒のみの処理においては90%以上の脱臭効果を得た。加えて、アンモニア除去率も90%以上の結果であり、触媒による脱臭は有効であると考える。
◆ 考察
アンモニアのオゾンによる分解反応には長時間が必要であり、今回の排気に対しても同様に短時間での処理は困難と考える。
アンモニアとオゾンの分解反応を促進して短時間で脱臭する目的で触媒を用いた実験を実施した。
結果的に触媒のみで90%以上の脱臭効果を得る結果となったが、これは触媒表面にアンモニアが吸着された脱臭効果であり、アンモニアを分解除去しているわけではないため、脱臭効果がどれだけ維持できるかが不明である。
それに対してオゾン+触媒で処理した場合、触媒に吸着したアンモニアをオゾンにより分解除去できるため、触媒のみの処理よりも長く脱臭効果を維持できる可能性が高いと考える。