ケミカル排水の脱臭実験
◆ 実験課題
ケミカル排水から発生する臭気の除去方法として、排水に直接ファインバブルのオゾンガスを注入することによる脱臭効果を評価する。
◆ 実験方法
・工場排水約8Lを処理水槽に貯め、ミキシングポンプを用いてオゾンガスをファインバブルの状態で混合させる。
処理時間については5分・10分・20分・30分・60分の5種類とする。
・上記のオゾン処理排水に空気をバブリングして発生させた臭気をにおい袋に回収する。
同様にオゾン処理していない排水の臭気も回収する。
・におい袋に回収した上記6種類の試料について嗅覚を用いた臭気簡易評価法(二点比較式臭袋法)による臭気濃度の測定結果を用いて下記式にて脱臭効果を算出する。
脱臭効果 = 1-( 脱臭後の臭気濃度 ÷ 原臭気の臭気濃度 )
・加えて、各試料について目視による脱色効果も評価する。
脱臭実験装置
◆ 実験結果
実験A)脱臭効果については下記のとおりであり、においの質もあきらかに変化した。
処理時間 | 臭気濃度 | 脱臭率 | 備考 |
未処理 | 3,000倍 | - | 甘酸っぱいバニラ系のようなにおいに変化 |
5min | 3,000倍 | 0% | 嗅ぐのがつらいくらい強烈で不快なにおい |
10min | 2,000倍 | 33% | 香ばしいバニラ系の臭いに変化 |
20min | 2,000倍 | 33% | においの質は同じで少し弱くなった |
30min | 1,500倍 | 50% | においが少し弱くなり、長く嗅いでいられる |
60min | 1,500倍 | 50% | 同上 |
実験B)脱色実験については下記のとおりオゾン処理により明らかに色が薄くなった。
◆ 結論
ファインバブルオゾンで30分処理することにより50%の脱臭効果を得た。
脱臭には長時間必要だったが、においの質は短時間で変化して不快なにおいではなくなった。
脱色効果については、オゾン処理により透明に近い乳白色になり沈殿物も少なくなった。
◆ 考察
処理開始から約10分間は大量の泡が発生し、その後は徐々に消泡した。