酒樽の殺菌実験
◆ 実験課題
FILE160で紹介した菌測定に関する追加実験として、酒樽のオゾン水による殺菌処理前後の菌数を測定することによりオゾンによる殺菌効果を評価する。
◆ 実験方法
2種類の酒樽(樽A:長期間使用・保管しカビ臭が残留するもの、および 樽B:貯蔵酒のかおりが強く残留するもの)を用いて、
下記項目の実験による評価を実施する。
・酒樽の内部に水を充満させて攪拌した後に内部の水を回収して菌数を測定する
・所定濃度(0.7~0.8ppm)のオゾン水を酒樽いっぱいに充填し、20分間放置する
・酒樽内の水を回収して殺菌直後の菌数を測定する
・処理水を排水した後、再度酒樽に水を充填させて攪拌した後に内部の水を回収して殺菌水入替後の菌数を測定する
殺菌効果については、日水製薬のコンパクトドライを用いて一般生菌数およびカビ酵母菌数を測定し、その結果を用いて
下記式にて算出する。
殺菌効果=1-( 殺菌後の菌数÷殺菌前の菌数 )
◆ 実験結果(一般生菌)
項目 | 一般生菌数(cfu/mL) | 備考 | |||
殺菌前 | 殺菌直後 | 殺菌水入替後 | |||
樽 A | 菌数 | 27,000 | 1,800 | 1,350 | |
殺菌効果 | ― | 93% | 95% | ||
樽 B | 菌数 | 170 | 0 | 0 | |
殺菌効果 | ― | 100% | 100% |
◆ 実験結果(カビ・酵母菌)
項目 | カビ・酵母菌数(cfu/mL) | 備考 | |||
殺菌前 | 殺菌直後 | 殺菌水入替後 | |||
樽 A | 菌数 | 150 | 0 | 0 | |
殺菌効果 | ― | 100% | 100% | ||
樽 B | 菌数 | 190 | 10 | 0 | |
殺菌効果 | ― | 95% | 100% |
◆ 結論
樽A樽Bともに一般生菌およびカビ・酵母菌について93%超の殺菌効果を確認した。
◆ 考察
樽Bについてはオゾン処理後の商品充填時には一般生菌およびカビ・酵母菌ともに1桁cfu/mLの水準を達成できると判断する。