河川に残留する化学肥料(亜硝酸態窒素)のオゾン分解
◆ 実験課題
沖縄県やんばる地方の河川における化学肥料の残留濃度を測定し、オゾンを混合処理することによる分解除去レベルを評価する。
◆ 実験方法
・やんばるの河川(我部祖河川、大保大川、饒波川)の水を採取する
・河川水の化学肥料の主成分を測定し、原水濃度とする
・水槽に河川の水を4L投入しエジェクタにてオゾンガスを1g/hの条件で混合処理する
・オゾンガス混合時間は30秒間、2分間、16分で処理する
・処理した河川水の化学肥料成分を測定し、原水濃度からの分解除去レベルを評価する
・濃度測定は共立理化学研究所製パックテストの色変化を吸光度計RGBで測定する
◆ 実験システム
◆ 実験結果
成分 / 河川名称 | 原水濃度 | 処理後濃度 | 除去率 | 備考 | |
アンモニウム態窒素 | 我部祖河川 | 0.7mg/L | 0.5mg/L | 29% | オゾン処理 30秒 |
0.5mg/L | 29% | 〃 2分 | |||
0.5mg/L | 14% | 〃 16分 | |||
大保大川 | 0.5mg/L | 0.5mg/L | 0% | オゾン処理 30秒 | |
0.7mg/L | -40% | 〃 2分 | |||
0.5mg/L | 0% | 〃 16分 | |||
饒波川 | 0.1mg/L | 0.3mg/L | -200% | オゾン処理 30秒 | |
0.3mg/L | -200% | 〃 2分 | |||
0.2mg/L | -100% | 〃 16分 |
亜硝酸態窒素 | 我部祖河川 | 0.025mg/L | 0.005mg/L | 80% | オゾン処理 30秒 |
0.005mg/L | 80% | 〃 2分 | |||
0.005mg/L | 80% | 〃 16分 | |||
大保大川 | 0.035mg/L | 0.005mg/L | 86% | オゾン処理 30秒 | |
0.005mg/L | 86% | 〃 2分 | |||
0.005mg/L | 86% | 〃 16分 | |||
饒波川 | 0.005mg/L | 0.005mg/L | 0% | オゾン処理 30秒 | |
0.005mg/L | 0% | 〃 2分 | |||
0.005mg/L | 0% | 〃 16分 |
硝酸態窒素 | 我部祖河川 | 0.8mg/L | 0.3mg/L | 63% | オゾン処理 30秒 |
0.5mg/L | 38% | 〃 2分 | |||
0.8mg/L | 0% | 〃 16分 | |||
大保大川 | 0.9mg/L | 0.3mg/L | 67% | オゾン処理 30秒 | |
0.4mg/L | 56% | 〃 2分 | |||
0.7mg/L | 22% | 〃 16分 | |||
饒波川 | 0.5mg/L | 0.5mg/L | 0% | オゾン処理 30秒 | |
0.6mg/L | -20% | 〃 2分 | |||
0.9mg/L | -80% | 〃 16分 |
◆ 結論
アンモニウム態窒素と硝酸態窒素についてはオゾン処理による明確な効果は確認できなかった。 亜硝酸態窒素については水道水規制値0.04mg/Lに近い濃度であったが、それも短時間のオゾン処理で測定限界値未満にまで濃度が低下しており、80%以上の分解除去効果を確認した。
◆ 考察
今回の実験で採取した河川水においては、アンモニウム態窒素および硝酸態窒素の残留濃度が低かったため測定誤差のレベルかもしれないが、傾向としては短時間のオゾン処理で各成分は分解されて濃度がさがり、 継続して処理を続けることにより濃度が上昇する結果となった。
亜硝酸態窒素は、我部祖河川と大保大川で水道水の規制値0.04mg/Lに近い値であったが、短時間のオゾン処理で測定限界値未満まで分解除去できており、オゾンの有効性を確認した。