オゾン処理による除草剤の分解実験Ⅱ
◆ 課題
オゾンにより除草剤(主成分はグリホサート・グリホシネート類)を分解できる可能性についてはFILE143で紹介したが、除草剤をオゾン水と反応させて分解除去すること、および除草剤の量に対してどれだけのオゾン量が必要かを評価する。
◆ 実験方法
・所定濃度の除草剤を反応タンクに貯え、水中ポンプとエジェクタを用いてオゾンガスを混合
・混合するオゾン量を変えて処理し反応タンク内に残留する除草剤の濃度を測定
・また所定濃度のオゾン水に除草剤を添加することにより残留する除草剤の濃度を測定
・除草剤濃度の測定はHPLC(高速液クロ)により除草剤の定量分析を実施
・HPLCは沖縄健康バイオテクノロジーセンターの設備(Agilent社製1100シリーズ)を利用
・分析方法は厚生労働省の残留農薬グリホサート・グリホシネート試験法に準じる
・実験後の残留濃度を評価するための検量線として4.1・20.5・41μg/mLの3種類を設定
検量線:HPLC分析結果を定量判定するときの基準データ
実験条件
検体1 | 検量線 除草剤濃度 4.1μg/mL | 水中ポンプとエジェクタで攪拌 |
検体2 | 検体1の除草剤に対するオゾン量3倍 | 水中ポンプとエジェクタで循環処理 オゾンによる分解効果を評価 |
検体3 | 検体1の除草剤に対するオゾン量10倍 | |
検体4 | 検量線 除草剤濃度 20.5μg/mL | 水中ポンプとエジェクタで攪拌 |
検体5 | 検体4の除草剤に対するオゾン量3倍 | 水中ポンプとエジェクタで循環処理 オゾンによる分解効果を評価 |
検体6 | 検体4の除草剤に対する オゾン量30倍 | |
検体7 | 検量線 除草剤濃度 41μg/mL | 水中ポンプとエジェクタで攪拌 |
検体8 | 検体4の除草剤に対するオゾン量10倍 | 水中ポンプとエジェクタで循環処理 オゾンによる分解効果を評価 |
検体9 | 検体4の除草剤に対する オゾン量30倍 | |
検体10 | 1ppmオゾン水にオゾン同量の除草剤添加 | ポンプとエジェクタ循環の影響排除 |
※ 上記に加えてブランク(除草剤なし検体)も測定/HPLC分析検体精製薬品の影響を把握
実験結果
除草剤 4μg/mL溶液に対し 3倍のオゾンで処理 除草剤の分解除去率 = 97%
除草剤 4μg/mL溶液に対し 3倍のオゾンで処理 除草剤の分解除去率 = 97%
除草剤 20μg/mL溶液に対し 3倍のオゾンで処理 除草剤の分解除去率 = 99%
除草剤 20μg/mL溶液に対し 30倍のオゾンで処理 除草剤の分解除去率 = 99%
除草剤 40μg/mL溶液に対し 10倍のオゾンで処理 除草剤の分解除去率 = 99%
除草剤 40μg/mL溶液に対し 30倍のオゾンで処理 除草剤の分解除去率 = 100%
オゾン水にオゾンと同量の除草剤添加/ポンプ未使用 除草剤の分解除去率 = 96%
◆ 結論
・除草剤の質量に対して同等量のオゾンにより、ほぼ100%に近い除草剤を分解できる。
今回の実験ではオゾン水に除草剤を投入することにより、オゾンとの反応以外の外的要因が
関与しない実験方法でも確実に分解できることを確認した。
除草剤の除去率については、上記のようにHPLCクロマトグラフから除草剤の主要成分におけるピーク面積の減少率にて算出した。