オゾン水におけるUV照射による残留オゾンの分解
◆ 課題
オゾン水に残留するオゾンの除去に対して、FILE139で紹介したとおり実験レベルでは効果を確認できたが、市販のUV流水殺菌装置を使用して実機に近いレベルでの有効性を評価する。
◆ 実験方法
オゾン水をUV流水殺菌装置に供給し、UV照射によりオゾンの除去レベル(残留濃度)を測定する
各テスト共通
・処理槽に貯蔵した水を循環処理してオゾン水を製造する(オゾン濃度を飽和状態にする)
テストA
・オゾン飽和後にオゾン供給を停止し、UV照射した水を回収槽に移送した後回収槽内のオゾン水濃度を測定する(1パス処理性能の確認)
テストB
・オゾン飽和後もオゾン供給とUV照射にて反応槽で循環処理した後、
処理槽内のオゾン水濃度を測定する(連続処理性能の確認)
テストC
・オゾン飽和後もオゾン供給とUV照射した水を回収槽に移送し、
UV装置出口のオゾン水濃度を測定する(回収槽における希釈の可能性を排除)
テストD
・条件はテストCと同じとし、UV照射が安定する時間を経過後に、
UV装置出口のオゾン水濃度を測定する(UV照射の安定作動を確保)
評価方法
・UV処理前後のオゾン除去量を計算し、1秒間でのオゾン分解除去量を算出する
実験システムの構成 及び UV流水殺菌装置の仕様
UVランプ:60W
処理水量:7m3/h水道水を殺菌して枯草菌(芽胞)を99.9%殺菌する能力
実験水量:3m3/h
実験結果
テスト | UV照射前 | UV照射後 | オゾン除去量の結果 |
A | 1.2ppm | 0.2ppm | 飽和オゾン水を1パス処理(約12秒間) 10L × (1.2 - 0.2 ppm) = 10 mg |
B | 1.2ppm | 0.0ppm | 飽和オゾン水にオゾン供給しつつ連続処理(約3分間) 10L × 1.2ppm + 1.8g/h × 3分 = 102 mg |
C | 1.2ppm | 0.8ppm | 飽和オゾン水にオゾン供給しつつ1パス処理(約12秒間) 10L ×(1.2 - 0.8ppm)+ 1.8g/h × 12秒 = 10 mg |
D | 1.0ppm | 0.0ppm | 飽和オゾン水にオゾン供給しつつ1パス処理(約12秒間) 10L × 1.0ppm + 1.8g/h × 12秒 = 16 mg |
テスト | オゾン分解性能 | オゾン分解性能の計算式 |
A | 0.83mg/sec | オゾン除去量計算結果 ÷ UV照射時間 |
B | 0.57mg/sec | オゾン除去量計算結果 ÷ UV照射時間 |
C | 0.83mg/sec | オゾン除去量計算結果 ÷ UV照射時間 |
B | 1.33mg/sec | オゾン除去量計算結果 ÷ UV照射時間 |
60WのUVランプを用いて 3m3/hのオゾン水量を処理する条件下において、1.3 mg/sec 以上のオゾンを分解できると判断する。
◆ 考察
テストAおよびCに関しては、UVランプが十分に性能を発揮する前にオゾン水を処理した可能性が否定できないため、オゾン分解量が少なかったと推測する。
テストB以降は連続的にオゾンを混合しながらUV処理したため、確実にワンパスでのオゾン分解量が把握できる状態であったが、 テストBについては処理槽の水を長時間循環処理したことでUV分解性能に対して供給したオゾン量が低かった結果と考える。
テストDではUVランプの性能を十分に確保できた状態でオゾン水を処理した結果と判断する。
しかしながら、UV処理後のオゾン濃度が”0”であることを考慮すると、さらに多くのオゾンを供給することで、今回の実験結果より高い分解量を得る可能性もある。