製紙原料(パルプ)に対する脱色実験Ⅱ
◆ 実験課題
FILE130で紹介したパルプのオゾン脱色レベルに関して、脱色するために長時間必要という問題点を再評価する。
◆ 実験方法
ミキシングポンプでオゾンガスを気液混合できるレベルにパルプ濃度を希釈する。
前回の実験と同じくパルプ濃度を約1%にした。
・製紙原料のパルプ濃度を1%に希釈するる
・溶液10Lを反応槽に投入し、ミキシングポンプにて撹拌・オゾン混合する
・気液混合するオゾン量は1.8g/hとする
・所定時間放置後に溶液の色の変化を目視にて確認評価する
実験条件とオゾン処理量
処理時間 | 放置時間 | 評価時間 | オゾン混合量 | |
実験 A | 10分 | 2時間50分 | 3時間 | 0.27g |
実験 B | 20分 | 2時間40分 | 〃 | 0.54g |
実験 C | 30分 | 2時間30分 | 〃 | 0.81g |
実験 D | 60分 | 2時間 | 〃 | 1.62g |
実験システム
◆ 実験結果
オゾン処理の時間経過と色の変化
上記のとおり30分処理後にはほぼ白色に近くなり、それ以降も多少脱色するが、
大きな色の変化は感じられない状況であった。
◆ 結論
パルプを有する液をミキシングポンプで撹拌・オゾン混合処理することにおいて、製造工程で対応可能なレベルと考える時間(30分~60分)で脱色できることを確認した。
◆ 考察
今回の実験では、前回の実験とは異なり短時間での脱色効果を確認できた。 前回の実験では処理槽外部から脱色レベルを評価してことで、微妙な色の変化がわかりにくかったため、短時間での脱色は困難と判断し、オゾン反応に時間が必要という仮説を導き、今回の実験条件(オゾン処理し所定時間放置後に脱色効果を確認)を想定した。
今回の実験では、所定時間後にサンプルを透明な瓶に回収して脱色効果を評価した。 加えて、短時間(10分単位)での評価したことにより詳細な脱色反応が確認できた。
実験条件として想定したように、オゾン処理後に所定時間放置してから色の変化を確認したが変化はほとんど感じられなかった。
従って短時間でオゾンが反応し脱色処理が完了していると考える。