排水に含まれる硫化水素の分解除去
◆ 実験課題
排水に含まれる硫化水素をオゾンで分解除去できるかどうかを評価する。
◆ 実験方法
排水に含まれる硫化水素の濃度を測定する。
FILE127で紹介した簡易式悪臭物質の測定方法を用いる。
【実験 1】
・提供していただいた排水150mLを300mLの容器に投入し密閉状態とする
・容器を振とうした後、ガス検知管を用いて気相ガス濃度を測定する
・測定結果を用いて換算式により排水中の硫化水素濃度を算出する
【実験 2】
・排水サンプル150mLを三角フラスコに投入する
・排水中の硫化水素と同量のオゾンをセラミックフィルタを用いてバブリングする
・実験1と同じ方法により排水中の硫化水素濃度を算出する
・実験1と比較して硫化水素の除去率を算出する
【実験 3】
・実験 2 と同じようにして硫化水素の5倍のオゾンをバブリングする
・排水中の硫化水素濃度を算出し、除去率を計算する
【実験 4】
・実験 2 と同じようにして硫化水素の10倍のオゾンをバブリングする
・排水中の硫化水素濃度を算出し、除去率を計算する
◆ 実験結果
水中の硫化水素濃度 | 硫化水素の除去率 | 備 考 | |
実験 1 | 3 ppm | - | |
実験 2 | 3 ppm | 0% | 硫化水素と同量のオゾンを添加 |
実験 3 | 2 ppm | 33% | 〃 の 5倍 〃 |
実験 4 | 0.3 ppm | 90% | 〃 10倍 〃 |
◆ 結論
排水に含まれる硫化水素の10倍のオゾンを供給することにより硫化水素を90%除去できる結果となった。
しかしながら、水中の硫化水素はオゾンガスのバブリングにより揮発除去されたことが主要因であると判断する。
◆ 考察
水中の硫化水素はオゾンガスのバブリングにより揮発除去された可能性が高いと考え、オゾンガスのバブリングによる影響を防止するために、硫化水素の5倍の濃度のオゾン水を添加する実験を実施した結果、硫化水素の除去率は13%であった。 この結果より、バブリングにより水中の硫化水素が揮発させられたことが硫化水素除去の大きな要因と考える。
また、硫化水素をオゾンで分解除去するためには10倍近い量のオゾンを投入する必要があり、かなり大型のオゾン装置が必要となる。