ベンゼンの分解除去
◆ 研究課題
プラスチック工場の排気などでベンゼンが問題となっており、その除去方法としてオゾン分解触媒および水中バブリング(擬似アクアオゾン)による除去効果を確認する。
◆ 実験方法
ベンゼンを三角フラスコに入れ、空気を送り込むことで揮発させ、そこにオゾンを接触反応させた排気サンプルを回収し、ベンゼンの濃度を測定する。 次に、その排気をオゾン分解触媒に通過させることによりベンゼンの分解除去を促進する。 加えて、排気を水中バブリングさせ、そのサンプルを回収してベンゼンの濃度を測定する。 濃度測定はガス検知管により実施し、濃度差により除去率を評価する。
オゾン接触&分解触媒による除去実験
◆ 実験結果
実験条件 | ベンゼン濃度 | 除去率 | |
ベンゼン揮発 | 7,000ppm | - | |
オゾン処理 | オゾン 7,000ppm | 5,000ppm | 29% |
オゾン分解触媒 | オゾンなし | 1,600ppm | 77% |
オゾン 400ppm | 1,000ppm | 86% | |
オゾン 1,000ppm | 300ppm | 96% | |
オゾン 7,000ppm | 300ppm | 96% | |
水中バブリング | オゾンなし | 7,000ppm | 0% |
◆ 結論
オゾンのみによるベンゼン分解は排気風量に対するオゾン濃度がベンゼンと同じ7,000ppmであっても除去効果は29%であり、オゾンのみにより短時間で分解除去することは困難と考えます。ただしオゾン分解触媒を併用した場合には、分解触媒通過時の瞬時にベンゼンを90%以上除去できると判断します。
また、参考のために実施した水中バブリングによるベンゼンの除去は、予想通り不可能であることを確認しました。
◆ 考察
オゾン分解触媒の併用によりベンゼンを高効率で除去できることに対して、触媒表面での吸着除去の可能性も否定できないため、除去効果の寿命について課題が残ります。
また、実験後に分解触媒に空気(オゾンなし)を通過させると、分解触媒からベンゼンの臭気が揮発して排出されることを確認しました。
さらに、再度分解触媒にオゾンを通過させるとベンゼンの臭気は脱臭されます。