ホルマリンの分解・脱臭
◆ 研究課題
病院で使用する内視鏡の消毒液などから発生するホルマリン臭を排気せずに室内で分解・脱臭する方法がないか、という問い合わせが時々ある。
ホルマリンはオゾン処理が困難な物質と認識されているが、実際に分解・脱臭効果を確認するとともに、触媒などの活用による有効性を検証する。
◆ 実験方法・結果
オゾンによる脱臭実験
・消毒液サンプルをバブリングさせることにより臭気を発生させる
・臭気を臭気袋に回収する
・臭気袋にオゾンを投入して脱臭効果を確認する
オゾン供給 | ニオイセンサー | 脱臭効果 | |||
濃度 | 供給量 | 表示値 | 臭気濃度換算 | ||
サンプル | 5g/m3 | 0mL | 300 | 150 | 0% |
実験① | 5g/m3 | 15mL | 250 | 110 | 27% |
実験② | 5g/m3 | 30mL | 205 | 75 | 50% |
実験③ | 5g/m3 | 50mL | 190 | 65 | 57% |
オゾンと光触媒による脱臭実験
・密閉容器にホルマリン液を放置して臭気を充満させたのちにホルマリンを回収する
・密閉容器内でオゾンランプを点灯しファンで拡散した状態で脱臭効果を確認する
・同様にオゾンランプと光触媒を活用して脱臭効果を確認する
・密閉容器であってもファン拡散による希釈が発生するためそのレベルを確認する
実験開始2分 | 4分後 | 6分後 | 8分後 | 平均脱臭効果 | |
ファン拡散 | 50 | 13 | 4 | 3 | - |
オゾンランプ | 25 | 6 | 2 | 1 | 55% |
オゾン+光触媒 | 18 | 3 | 1 | 1 | 71% |
※ ニオイセンサーの検出結果を臭気濃度に換算
◆ 結論
今回は簡易的な実験装置での結果ではあるが、オゾン分解によるホルマリンの脱臭効果は50%前後であり、オゾンと光触媒の併用によるホルマリン脱臭方法では70%前後の脱臭効果が見込めると判断する。今後更なる脱臭効率アップの方法を検討する。