精密加工場の耐久試験で発生する潤滑油の臭気対策
◆ 研究課題
自動車部品を製造する精密加工場のカム耐久試験で発生する煙はオイルセパレータでほぼ回収できているが、臭気が強烈に残ってしまうため、試験終了後に30分くらいは試験場へ立ち入って作業ができずに作業効率が非常に悪い状態となっている。脱臭方法をいろいろ調査しているが、なかなか良い脱臭方法がなくて困っている という相談を受けました。
◆ 研究ポイント(ちょっとした工夫)
お客様が使用している潤滑剤は有機系とお聞きし、オゾンで分解できる可能性が高いと判断しましたが、室内の臭気がかなり強烈ということでしたので、通常のオゾン脱臭装置では対応できない(オゾン量が不足する)と判断したため、今回はオゾンの発生量が脱臭装置よりも多いオゾン殺菌装置を現場に持ち込み、実際の試験場での脱臭実験を提案しました。
実験方法
・お客様の子試験場で実際の耐久試験を実施し、強烈な臭気を発生させる
・耐久試験終了後にオゾン殺菌装置を所定時間稼働させてオゾンを噴霧させる
・所定時間経過後に試験場におけるにおいを嗅いで脱臭効果を評価
実験結果(オゾン分解脱臭)
臭気強度 | 臭気濃度換算 | 消臭効果 | ||
原臭気/試験終了直後 | 4 | 600 | - | |
脱臭なし | 10分後 | 4 | 500 | 17% |
30分後 | 3 | 100 | 83% | |
オゾン脱臭 | 5分後 | 3 | 80 | 87% |
10分後 | 2.5 | 15 | 98% |
◆ 研究成果
実際の現場で良好な結果を体感していただき、当初の計画ではまずは試験的に1箇所の試験場に脱臭装置を設置する予定でしたが、脱臭効果に満足していただけたようで、一挙にすべての試験場に導入していただきました。