鋳造工程で発生する排気脱臭
◆ 研究課題
file021で紹介した鋳造工程で発生する臭気の脱臭成果が良好であったことに対して、追加で要望があった工場全体の排気脱臭に関する実験について紹介します。
脱臭対象の排気というのは、鋳造ラインの鋳砂が燃焼することにより発生する油煙を含んだ排気であり、既設の脱臭設備は薬品の霧を排気ダクトに噴霧する構造ですが、あまり脱臭できていないと感じているようです。加えて、排気ダクトの排出口からは薄い状態ではありますが煙が排出されているのが遠くからでも確認される状況です。
そのため、周辺地域に臭気が漂ったときには、当社が原因かどうかは不明なのですが、この煙の影響もあり苦情が入るので何とかしたいという悩みを抱えていました。
◆ 研究ポイント(ちょっとした工夫)
排気に含まれる油煙により排気ダクトの内壁にはかなりのオイルが付着しており、それが回収できていないためにそれから再揮発する臭気も発生している状況でした。従って、まずは排気の油煙を除去することが重要と考えました。加えて、油煙を除去することにより脱臭効果も見込めると判断して実験を実施しました。
実験:電気集塵による油煙除去と脱臭が可能かどうかを簡易的に評価しました。
・お客様から提供していただいた臭気サンプル(鋳砂)を加熱し臭気と油煙を再現
・臭気と油煙を電気集塵ユニットに供給し集塵処理を実施
・集塵ユニットからの排気をにおい袋に回収して脱臭効果を評価
・におい袋にオゾンガスを供給してさらなる脱臭力の向上を評価
結論:電気集塵による消煙・脱臭実験
原臭気 | 電気集塵ON | オゾン投入 | |
臭気強度 | 5(強烈なにおい) | 5(強烈なにおい) | 4(強いにおい) |
ニオイセンサー | 700 | 530 | 330 |
臭気濃度換算 | 8000 | 4200 | 1100 |
脱臭効率 | - | 48% | 86% |
評価結果 | 電気集塵による消煙効果は高く、かつ良好な脱臭効果も期待できる さらにオゾンを組み合わせることにより高品質な脱臭が可能 |
◆ 研究成果(お客様への貢献)
実験結果は良好で大きな期待ができるため、実際の排気量に応じた設計を早急に検討して提案してほしいというコメントをいただきました。