火災現場のオゾン脱臭
今回は研究室ではなく、お客様の困っている実際の現場で実施した、少し変わったオゾン脱臭に関する事例を紹介します。
◆ 研究課題(お客様の悩み)
貸しビルの一室で発生した火災現場を洗浄しても焦げ臭いにおいが染みついてなかなか取れないで困っている。オゾンを1~2日ほど室内に充満させることで脱臭が可能と聞いたが、オゾンが高濃度になりすぎたり、それが部屋からもれたりして、周囲に流れ込んで人体に悪影響するようなことはないのか?・・・という問い合わせを受けました。
◆ 研究ポイント(ちょっとした工夫)
オゾンは自然に分解する特性があり、部屋の体積と供給量をコントロールすることにより一定濃度で安定させることができます。
また室内のオゾン濃度をオゾンモニターで測定して数値で表示することにより、お客様に安心していただけるように24時間体制でオゾン濃度の安定性を監視しました。
加えて、部屋から廊下にオゾンが漏れたときのために、オゾンリークセンサーを設置し、オゾン漏れを監視しました。
補足しておきますが、オゾンは非常に低濃度であってもにおいとして感知することができ、8時間以上吸引し続けても人体に害がないレベルの低濃度であっても、オゾンの存在を感じることができるため、安全を確保しやすい物質です。
オゾン脱臭の様子
◆ 研究成果(お客様への貢献)
脱臭する部屋は2Fと3Fに分かれており、3Fのほうがにおいが強かったため、2Fよりもオゾン設定濃度を高いレベルでコントロールしました。
当初はオゾンと反応する臭気物質が多かったため低濃度で推移し、脱臭が進むにつれて室内のオゾン濃度が高濃度で安定することがわかります。
設計どおりのオゾン濃度コントロールを数値で確認していただいたことで、お客様から安心して作業を任せることができたというお言葉をいただきました。
モニタリングの様子
脱臭効果
2F室内 | 3F室内 | ||||
入口側 | 奥側 | 入口側 | 奥側 | ||
オゾン脱臭前 | センサー表示値 | 560 | 480 | 620 | 520 |
臭気濃度 | 250 | 200 | 300 | 230 | |
オゾン脱臭後 | センサー表示値 | 55 | 56 | 95 | 101 |
臭気濃度 | 10 | 10 | 20 | 20 | |
脱臭効果 | 96% | 95% | 93% | 91% |
本来の目的である脱臭に関しても、ニオイセンサーを用いてオゾン脱臭の前後でモニタリングし、90%以上の脱臭効果を確認しました。お客様にも、においがほとんど感じないレベルになったと喜んでいただきました。