成形工程における消煙と脱臭
当研究室では、お客様と一緒になってお客様が困っている現場環境を再現し、共同で実験することにより実際の現場に最適な対策方法を確立することもあります。
今回はその一例を紹介します。
◆ 研究課題(お客様の悩み)
ロックウールを加熱成形するときに発生する煙と強烈なにおいにより、成形装置の周辺では作業ができない状態であり、劣悪な環境を改善する方法をいろいろ検討しているが、なかなか良い案がなく困っている。何とか改善できないか?・・・という問い合わせを受けました。
◆ 研究ポイント(ちょっとした工夫)
まずは現場の状況や成型方法や装置の概要を確認し、材料を提供していただけるのであれば、研究室で作業環境を再現したうえで、それがどのレベルまで消煙および脱臭できるかを実験することを提案したところ、お客様は研究室での実験に立ち会い一緒に実験をしてみたいと希望されましたので、当社としてもより現場に近い環境を再現したり、対策効果の合否判断をするうえで共同実験は大歓迎であることをお伝えし、一緒に実験することになりました。 次に実験準備として、消煙や脱臭の方法に関しては事前に確認した状況をもとに、当社のノウハウからシステム構成は想定できたのですが、課題は成形時の煙とにおいをどのように再現するかでした。
成形装置を研究室に設置することは非現実的であり、簡易的に成形時の状況を再現するしかありませんでしたので、結果的には実際の成形条件とは少し異なりましたが、現場と同じような煙とにおいを再現する加熱条件を導き出すことから実験に着手しました。
再現装置
◆ 研究成果(お客様への貢献)
対策は2種類の技術を用いて実施しました。煙は電気集塵で回収し、においはオゾンで分解脱臭する方法です。
消煙レベルは実験装置に煙を導き、瞬時に消煙できることを目視で確認し、臭気についてはオゾン脱臭前後の臭いの差を官能的に判断していただきました。
官能試験 | 臭気強度 | 臭気濃度 | 脱臭効果 | |
脱臭前 | 強烈なにおい | 5 | 1000 | (原臭) |
脱臭後 | 弱いにおい | 2 | 15 | 98 |
共同実験によりより現場に近い環境に対する対策効果を確認することができたので、すぐに装置を導入したいということになり、数日後に注文をいただきました。
実験には代表取締役の方もお越しいただき、研究室での取り組みも合わせて評価していただけたのだと思います。
脱臭装置の試運転に参加させていただいた時にも、実際の現場での対策効果にも非常に満足していただき、他にも課題があるので相談したいというお声もいただきました。