悪臭防止法ってどんな法律?

「悪臭防止法」という法律をご存じですか?

簡単にいうと「悪臭から国民を守る法律」です。
悪臭について必要な規制を行い、事業者が悪臭防止対策を推進することで、周辺住民の生活環境を保全することを目的としており、昭和46年に制定されました。

事業活動に伴って悪臭が発生している工場やその他の事業場は、悪臭防止法で定められている規制基準を守る義務があります。

定められた規制基準に適合していない+住民の生活環境に悪影響を及ぼしていると市町村長から改善勧告が出て、その次に改善命令が出ます。
それでも改善されなければ、最終的に罰則が科せられます。



規制対象:規制地域内の全ての工場、事業場
規制基準:特定悪臭物質の濃度、または臭気指数。
どちらかの規制基準を、図のように、悪臭の排出形態に応じて、各自治体で決められた規制基準以下に抑える必要がある。
規制:改善勧告、改善命令ともに市区町村長が発動。命令に違反した者は罰則が科せられる。

「特定悪臭物質の濃度」と「臭気指数」、2種類の規制基準があります。自治体によって、どちらを採択しているかは異なりますが、どのように違うのでしょうか?

●特定悪臭物質の濃度
悪臭の原因となる物質として指定された下記22物質の濃度によって規制する方法で、悪臭防止法の制定以来、用いられてきた規制法です。
自治体により、臭気強度2.5~3.5の範囲内で敷地境界線上の規制基準を定めています。
 

特定悪臭物質の臭気強度と濃度の関係(単位:ppm)

特定悪臭物質名

臭気強度

臭気の質

2.5

3

3.5

アンモニア

1

2

5

し尿のような臭い

メチルメルカプタン

0.002

0.004

0.01

腐った玉ネギのような臭い

硫化水素

0.02

0.06

0.2

腐った卵のような臭い

硫化メチル

0.01

0.05

0.2

腐ったキャベツのような臭い

二硫化メチル

0.009

0.03

0.1

トリメチルアミン

0.005

0.02

0.07

腐った魚のような臭い

アセトアルデヒド

0.05

0.1

0.5

刺激的な青臭い臭い

プロピオンアルデヒド

0.05

0.1

0.5

刺激的な甘酸っぱい焦げた臭い

ノルマルブチルアルデヒド

0.009

0.03

0.08

イソブチルアルデヒド

0.02

0.07

0.2

ノルマルバレルアルデヒド

0.009

0.02

0.05

むせるような甘酸っぱい焦げた臭い

イソバレルアルデヒド

0.003

0.006

0.01

イソブタノール

0.9

4

20

刺激的な発酵した臭い

酢酸エチル

3

7

20

刺激的なシンナーのような臭い

メチルイソブチルケトン

3

6

トルエン

10

30

60

ガソリンのような臭い

スチレン

0.4

0.8

2

都市ガスのような臭い

キシレン

2

5

ガソリンのような臭い

プロピオン酸

0.03

0.07

0.2

刺激的な酸っぱい臭い

ノルマル酪酸

0.001

0.002

0.006

汗臭い臭い

ノルマル吉草酸

0.0009

0.002

0.004

むれた靴下のような臭い

イソ吉草酸

0.001 

0.004

0.01

●臭気指数
人間の嗅覚を用いて悪臭の程度を数値化しその数値で基準を定める方法で、平成7年に導入されました。
臭気が感じられなくなるまで無臭空気で希釈したときの希釈倍率(臭気濃度)の対数値を10乗して求めます。

臭気指数 = 10 × log(臭気濃度)

においって何?」でも記載しているとおり、においとは空気中を漂っている化学物質の複合臭なので、特定悪臭物質の規制基準だけでは限界があり、住民の悪臭に被害感覚と一致しやすい臭気指数による規制が、近年普及しています。


法律として規制基準は設けられていますが、この基準をクリアしているから絶対に苦情が出ないというわけではありません。
近年では、飲食店などサービス業からの都市・生活型と呼ばれる悪臭の苦情が増加しているといわれています。
悪臭問題を起こさないために、まずは、悪臭の原因を見つけ、製造方法や工程を見直す、排出口の高さをもっと高くする、向きを変えるなどの対策をしましょう。

それでも、解決しない場合は、脱臭装置を検討してみてはいかがでしょうか?