夏はなぜニオイが気になる?

夏は他の季節に比べて、さまざまな場所で「ニオイ」のお悩みが増える季節ですよね。
なぜ夏はニオイが気になる季節なのでしょうか?

その理由は、他の季節と比べて高くなる「気温と湿度」がポイントになりそうです。

まず、ニオイを発生させる物が増えます。気温と湿度が高くなると、細菌やカビが繁殖しやすくなるため、悪臭が発生しやすくなります。
家の中ではゴミや排水溝からニオイが発生し、食品もきちんと管理をしていなければ腐敗が進み臭気を放ちます。

そして、気を付けている方が多いと思いますが、人からのニオイも増えますよね。
気温と湿度が高いと汗をかきやすくなります。
汗にニオイ物質はほとんど含まれていませんが、エクリン腺から出た汗がアカや皮脂と混ざり合うと、細菌がこれを分解し、ニオイ物質を作り出します。また、アポクリン腺から出る汗からも細菌の分解によって、ワキガ臭が発生します。

さらに、ニオイを感知する人間側にも、夏の気候が影響を与えます。
人間の鼻から入ってきたニオイ物質は、鼻の奥の嗅細胞で臭気を感知しています。
そのため、鼻の粘膜が乾燥していると成分をキャッチしにくく、においを感じづらくなりますが、湿度が高い環境では感度がよくなります。乾燥した環境と湿度が高い環境でニオイを嗅いだ時の、快・不快度を比較する実験では、湿度は悪臭をより不快に感じさせるということが分かっています。

一方で、ニオイがあるかを検知できる最低濃度には、温湿度の影響をほとんど受けないことも分かっています。どういうことかと言うと、「何のニオイかは分からないが、何かニオイがする」と気が付くために必要なニオイの濃度は、梅雨や夏と冬も変わらないということです。
しかし、湿度が高いということは、ニオイ成分を含んだ水蒸気が空気中にたくさん漂うということなので、他の季節に比べて多くのニオイを含んだ空気になっていると考えられます。

なぜ夏はニオイが気になる季節なのかを、ニオイを発生させる物・人の嗅覚・漂う空気の切り口から考えてみました。

これらのことから夏の悪臭対策を考えてみると、
・細菌やカビが繁殖しにくいように清掃や食品の管理に力を入れること。
・汗をかいたらすぐに拭き取ること。
・室内では室温を下げたり除湿をしたりして、ニオイが気にならない環境をつくること。
これらが、夏のニオイ対策には有効です。