毎年この時期になると季節の変わり目で体調が崩れやすくなり、
風邪で休む方も多いと思います。
そこで、今や趣味になりつつある漢方の知識から、
今回は葛根湯についてお話しします。
漢方にあまり興味のない方は、
タイトルのフレーズをご存じないかと思いますが、
実は漢方の世界には
葛根湯医者(かっこんとういしゃ)という言葉があり、
なんでもかんでも症状が出たら葛根湯を渡す医者のことを指します。
いわゆるヤブ医者と同じ意味です。
風邪ならとりあえず葛根湯を飲めばいい、というのは
あまりお勧めできる使い方ではないということです。
もちろん、葛根湯は効き目が優れているので話題になるわけですが、
その理由について考えてみると面白く、
漢方薬についての見方も変わるかと思います。
ヒントは葛根湯の中にあります。
まず、製品名を見ると
「葛の根を煎じたもの」という意味に見えるかもしれませんが、
中には「葛根、大棗、麻黄、甘草、桂皮、芍薬、生姜」など、
色々な生薬が入っていることが分かります。
ここで注目するのは麻黄(マオウ)です。
名前の響きから何だか強そうなイメージがありますが、
実はこの生薬は「エフェドリン」という医薬品の原料となる植物です。
エフェドリンの効能をネット検索すると分かると思いますが、
これは交感神経を高ぶらせる働きがあります。
交感神経が高ぶると心拍数が増え、
必然的に体温が上がり、免疫が上がります。
その他にも気管が広がり呼吸がしやすくなります。
その反面、心臓が弱い人や血圧が高い人には負担がかかってしまう等、
長期的に飲むものではないことが分かります。
固い話になってしまいましたが、
要するに漢方薬は名前ではなく中身を見ると、
その薬の働きが分かりやすいということです。
この時期は風邪にならないよう体温を上げる養生を取り入れることも
大事だと思います。
ぜひこの機会に漢方に興味を持っていただき、
ご自愛されてみてはいかがでしょうか。